ヤザケン日記
アラスカの野花 - ヤナギラン
6月後半 − 日照時間も延びて気温もぐんと上がり、待ちに待った夏の訪れを感じる頃、それまで無かったものが目に入ってくる。アラスカの町を車で走らせていると、否がおうにもあちらこちらでピンク色のかたまりが目に入ってくる ― ヤナギランだ。静まり帰っていたアラスカが、この色鮮やかな目にまぶしいピンク色の花で、視覚的にも夏に向けて町の人を活気付ける気さえするほどだ。それにしても、本当にいつ咲いたのであろうか、と思わせるほどにある時点で一気に咲き始めた。あまりにも目に付くので、思わずアラスカ州の花と勘違いしそうになる(州の花は忘れな草)。
ヤナギランは英名がFIREWEED。FIREとは火で、WEEDは雑草という意味になる。第二次大戦中、空襲を受けたロンドンが焼け野原になった時、最初に咲いた花がこのヤナギランであったと言う逸話もある。山火事跡や貧弱な土壌地、荒れ地にまず最初に入ってくるパイオニア・プラントの1つがこのヤナギランであり、土に栄養分を蓄積して、その後に入ってくる植物への橋渡しとなる環境学的にも重要な地位を占める植物である。それにしても、和名では「ラン」なのに、英語では「雑草」とは・・・。もう少し考えてあげてもよかったのではないかと同情してしまう。
それにしても、本当に花弁のピンクが「色鮮やか」の一言である。これほどのピンクは他に応用されているのを記憶したことがない。自然界にしか出ない色と言ってもいいだろうか。可憐さも備え、さらに力強さも感じさせるこのピンク色。これは一体どこから生まれてくるのだろう。アラスカの花はヤナギランに限らず、この短い夏の間にどれも色鮮やかに我々の目を楽しませてくれる。雪の下でじっと寒さに耐えてきた長い冬があったからこそ、ピンクが鮮やかで、しかも激しさ・美しさを保つ、他には例のない色を醸し出してくれるのであろうか。アラスカでは自然と野花に目が向くようになったのは当然の結果だった。
ヤナギランが咲き終わると、冬まであと6週間という。いつまでも咲きつづけてくれないだろうかと密かに思う。 (昨年:やザケン)
ヤナギラン マッキンレー山とヤナギラン ヤナギランの群生