<第二回 雲のように柔らかい! キヴィユートの魅力>
先日、アンカレッジのクラフトフェアにコリンさんが出品しているというので会いに行きました。彼女はQiveut(キヴィユート)というジャコウ牛の毛織物を作っている人です。
ジャコウ牛とは、アラスカやカナダ、グリーンランドといった北極圏地域に住む体重3,400キロのバッファローに似た動物で、全身毛むくじゃらで頭から両側に垂れ下がる角を持っています。その下毛は軽く、カシミヤより柔らかく、なんと羊毛の8倍(!)のあたたかさなのだそうです。その毛のため捕獲され、一時は絶滅の危機に瀕しましたが、現在では保護され除々にその数を増やしています。保護と研究目的のためジャコウ牛を飼育している牧場が世界で5つあり、アラスカ大学フェアバンクス校もその一つです。
コリンさんはUAF(アラスカ大学フェアバンクス校)やカナダの牧場からジャコウ牛の毛を手に入れるそうです。年一回、春に毛が抜けかわる季節に櫛を入れて毛を集めます。普通大人一頭から2〜4キロの毛が採れます。集めた毛をきれいにし、脱脂などの加工をして彼女の手元に届くのに数年かかるそうです。
彼女はデザインし、糸を紡ぎ、染め、機を織り、時に編んだり縫ったりして、彼女自身のオリジナルを作り上げます。大きなものではセーターやカーディガン、小さなものでは帽子、手袋など。ジャコウ牛の恐ろしげな姿からは想像もできないような繊細なものばかりです。手にとってみると本当にふわふわで、彼女いわく 「雲のように柔らかい」 のです。エスキモーの女性たちが受け継いできた手仕事を彼女は洗練されたものに生まれ変わらせました。手がかかった希少価値のあるものなので値段は張りますが、使い始めるともう手放せない使い心地。大事にすればまさに一生ものです。もしかしたらパシュミナのようにいつか日本でも脚光を浴びる日がくるかもしらませんね。
(12月7日 ベッキ-)

コリンさんはアラスカ生まれのアラスカ育ち。 コリンさんが織ったマフラー
UAFで織物のクラスを取ったのをきっかけに
キヴィユートに魅せられ、以来15年間機を
織り続けています。